「タンゴってやっぱりすごいですね!久しぶりに、平和な気持ちの午後でした」 セラピーが終了時に施設長のYさんのお言葉です。 久しぶりに?と、不思議な顔をしたセラピストメンバーに Yさんが説明してくださいました。 実は利用者のおひとり、Tさんがずっとご機嫌が悪く、 職員さんたちやほかのご利用者さまに対して ずっと怒っておられ、困っていたそうなのです。 セラピーが始まってからしばらくは いつもより少し落ち着きがないのか 急にたってどこかに行かれようとして、 職員さんがとめるというところも目にしました。 ただ、特にセラピストたちに 乱暴な言葉をかけられるということも、 拒絶されることもなく… 「ご機嫌が悪いとは気がつきませんでした。 いつもずっとなにかつぶやいていらっしゃる方ですが、 今日が特別、怒られている感じではなかったので…」 「僕もずっと聞いていましたけれども、 穏やかな言葉でしたよね」 若いのに洞察の深いYさんはつづけられました 「いい意味で『そとづら』を作れているというか… 先生たち(セラピストのこと)と接することで外向性や社交性とかが発揮されるんですね」 そう、それも、複数のセラピストがじっくりと時間をかけて向き合うタンゴセラピーの効果の一つかもしれません。 私は、その日、Tさんとラストダンスを踊りました。 Tさんんは最初はずっとつぶやいていらっしゃったのですが、途中から、曲に合わせて「ラララ」と歌いだされました。 曲は「Buscandote」 私も大好きな歌です。曲を覚えていらっしゃるなんて、すごいな!と驚きつつ一緒に声を合わせて歌いながら踊りました。 「最後、歌っていたでしょう。感動しました。あれ、本当にすごいですよ」 「Buscandote」は「君を探し求めて」の意味 遠くから恋焦がれていた女性に会いに行く男性の気持ちを歌っています。 アルゼンチンタンゴの常で、 男性の失恋に終わってしまいそうな歌なのですが(笑) 明るく、のびのびとしてメロディーで、 晴れた日に高原を歩いているようなそんな気分になる曲です。 是非、お聞きになって下さい。 ************** この日のセラピーは いつものように、座位で呼吸を注意しつつのストレッチ、 あきさんによる筋トレの後 継続して取り組んでいる上半身のひねりを使うステップ(体幹のバランス強化) 今回はそれに加えて「足の引き寄せ」にも「時間をかけました。 転倒を防ぐために大事な役割をする筋肉はいくつもありますが、 その一つが、太ももの内側にあり、足を閉じる動きをする内転筋群。 内側の筋肉が衰えれば、外側の筋肉だけで補おとして、バランスが崩れます。 高齢者が横に転倒するのは内転筋が衰え、外側の筋肉に依存しているからです。 横転びは、大腿骨頸部骨折の原因の一つで、高齢者の骨折の中で最も頻度が高いと言われています。 ゆっくりと引き寄せを行っていただくために最初は敢えてアルゼンチンタンゴを使わず、ゆっくりしたスローワルツを使ってみました。 ゆっくりとした三拍子に乗せ、「1で後退、2で横、3で閉じる」という動き。この動きになれていただくと 徐々に大きく開いてから、ゆっくりと足を引き付ける動きに移行できそうです! タンゴの音楽に切り替えてからのフリータイムでも、足の引き寄せに挑戦していらっしゃる方が沢山いらっしゃいました。 ★★★★★ 次回セラピーは7月7日(土)七夕の日です! 何か七夕にふさわしい風情を感じていただけることができないか、すでに思案中です。 施設側参加者:8名(1名ご見学) ボランティア:そのみさん、アキさん リーダー :みなこ ★★★★★ 「木下の介護 小平」は、基本的に第1土曜日、第4金曜日にセラピーを行っています。 次回土曜日の活動は7月7日13:30~15:00です!人数制限がありますので、参加希望の方、興味のある方はお早めにご連絡ください。 また、6月22日(金)はリリーさん担当のセラピーがございます!平日がご都合がいい方はぜひご参加下さい!