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 タンゴセラピーとは、主にアルゼンチンタンゴの特徴(音楽・歩き・抱擁)を使ったセラピーである。身体、脳、そして精神的な効果が認められている。

【タンゴセラピー国際会議より】※1

 

 アルゼンチンやウルグアイでは古くからタンゴの効果を補助療法に取り入れており、2009年8月に、アメリカ・ワシントン大学医学部の研究※2からリズムと共に様々な方向に足を出すタンゴ独自のステップが、他のどのエクササイズよりもパーキンソン病患者に見られる体のバランスが取りにくくなる症状を改善させることができるという研究結果が発表され、その後世界中にこのタンゴセラピーという言葉が広まった。現在では、アルゼンチン以外にも、ヨーロッパの国々やアメリカ、そして日本でもタンゴセラピーが広まっている。

 

 タンゴの音楽は歩くスピードに合わせやすい曲が多く、クラシックな楽器の音色でリラックスしながら、リズムに合わせて動き、そして歩くことができる。この一連の動きは、「セロトニン」の分泌を促進、精神を安定させる可能性が認められている※3。また、高齢の方にとっては戦前、戦後にはタンゴ音楽が流行していたことなどから、若い頃の事や、その時の感情を思い出すこと(回想法)※4にもつながることが期待できる。

 

 タンゴは前後左右に歩く踊りである。特に後方への歩きは、足首の可動域の増加につながり、第2の心臓ともいわれるふくらはぎの筋肉を効果的に使う。また、タンゴで大切な「脚を閉じる」という動きは、年齢と共に弱くなりがちな内転筋の筋力アップにつながる。 そして、タンゴは二人で踊るダンスであり、踊るときにはフォロアーが後ろ向きに歩くが、その際は相手を信頼し、相手の動きに集中する必要がある。逆に、リーダーはペアの相手がぶつからないように相手の動きを感じながらリードする必要があり、これらのことが相手への信頼感、そして自信をもつ事につながる。

 

 タンゴにおいて最も大切と言われるアブラッソだが、タンゴセラピーにおいても同様に素晴らしい効果を発揮する。ふれあうことにより、「オキシトシン」が分泌される。このホルモンには、身体の免疫力アップ、ストレスの緩和、心臓の機能の向上、モチベーションの向上などの効果があると、様々な研究から実証されている。※5

 このようにアルゼンチンタンゴの特徴のそれぞれが、心身の機能を回復、向上することにつながっていることから、日本においても様々なプロタンゴダンサーが、タンゴセラピーを行なっている。 

タンゴセラピー関連記事

認知症ONLINE

https://ninchisho-online.com/archives/author/kenichiro_nakagawa/

 

※1 【タンゴセラピー国際会議】

Congreso international de tango terapia の事。 2008年より毎年開催、各国のタンゴセラピーに関わる研究者やタンゴダンサー、セラピストが参加している。代表: Marisa Maragliano

http://www.tangoterapia.net.ar/congreso/objetivos/

 

※2 【アメリカ・ワシントン大学医学部の研究】

こちらの研究発表は有名で、様々な期間に取り上げられているが、タンゴでは有名なサイト、todotango.comでも見ることができる。

http://www.todotango.com/english/history/chronicle/456/The-tango-therapy-in-patients-with-Parkinsons-disease/

 

※3 【セロトニン】

脳生理学者、有田秀穂先生によるセロトニン解説(フミナーズ)

https://fuminners.jp/newsranking/9366/

 

※4 【回想法】

心理療法の1つ。認知症ネットより解説

https://info.ninchisho.net/dem_cure/cu50

 

※5 【オキシトシン】

アメリカ・ウィスコンシン医科大学教授、高橋 徳先生より解説(ケンカツ)

https://kenka2.com/articles/992

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